「自分がなりたい姿」を明確にイメージ

人は、いつも目の前のことだけに過度にとらわれてしまう。

長期的な目標を定めないまま、「どうやったら課題が解決ができるか?」ばかりを考えてしまうのだ。しかし、あまりに狭い視野のことばかりに集中していると、結果的に、ムダなことに時間を使って遠まわりしてしまう可能性がある。

長期的な視点を持つためには、自分の「ビジョン」を明確にすることが大切だ。しかし、もしそれが難しいと感じるのであれば、「自分のなりたい姿を明確にイメージしておく」 くらいに考えるといい。

それは、人によっては「十分な資産を持っていること」かもしれないし、「自由であること」、また「社会に貢献できる存在であること」など、方向はさまざまだろう。

その「自分がなりたい姿」のイメージを、いつも明確にしておくことが大切だ。これを持っていないと、仕事や生活の中で大事な判断を迫られたとき、目的と手段を混同してしまうことになる。

たとえば、転職を考えるとき、とりあえず少しでも年収の高い仕事を選んだほうが良さそうに見える。しかし、それが自分の「なりたいイメージ」に近づける選択ならばいいが、 たとえば「自由な時間が欲しい」と思っているのに、キツい仕事で多くの時間を費やしてしまったとしたら本末転倒だ。

こうやってわかりやすく書くと笑い話のようにも見えるが、 こういった基本的な選択のミスは、本当に多くの人がやってしまうものだ。

 

「目的」 と 「手段」 を切り分けて考えることの重要性
現代社会において、人は、不確実性(世の中がどうなるかわからない)と、曖昧性(何が最善なのかを定義できない)という、2つの大きな困難と向き合うことになる。このような不確実性や曖昧性にあふれた世の中を生きるのは、本当に大変だ。

今は価値があると信じてやっていることが、状況が変わり、あっという間に価値を失ってしまうかもしれないのだ。いつも目の前のことだけしか考えられていないと、世の中の状況が変わったとき、場あたり的な対応しかできなくなる。

たとえば仕事にしても、「とても脚光を浴びていて、イケてるように見える職種」というのはある。しかし、それだけの理由でその仕事を選んだとしても、世の中の状況が変わったあとに、自分にとっては結果としてマイナスだったということも起こるのだ。

本当に、思っているよりも世の中はよく変わるもの。だから、何に価値があるかも常に変わりつづける。そして今後、その変化のスピードはさらにアップするのだ。

自分の「なりたい姿」が明確にあり、それを目指すために仕事を選ぶと、多少世の中の状況が変わろうとあまり気にせずに済む。また、常に先を見ているので、社会状況が変わった場合でも、自分としてはどのような軌道修正をすればいいかの判断がしやすい。

これは、 選択のための自分なりの「軸」がある状態ともいえる。だから、いつも自分のなりたい姿に最も近い道を選ぶことができる。

 

考え方のプロセスを変えること
世の中の激しい変化と対峙するためには、自分の行動や意思決定のプロセスを大きく変えなければならない。つまり、目の前の課題を「どうやって克服するか?」ばかりにとらわれるのではなく、「自分のなりたいイメージに近づくには、どうすればいいのか?」と考えるのだ。

この方法のいいところは、成功に至るまでの道筋が、あらかじめはっきりと決められてなくてもいいことだ。最終目的地さえ見えていれば、途中の道筋はどのように変更してもいい。

判断の軸があるので、最適な指針が定めやすくなる。瞬間的に「どっちが得か?」という判断はなかなか難しいものだけれど、自分の目指す方向に近づくためという判断軸があれば、納得のいく決断がしやすくなる。

さらに、今はあえて損をしたとしても、あとで大きな得を取るという思い切った決断も下せる。

「自分のなりたい姿」を明確に持つことで、人生に主体性を感じることができ、長期的に自分の人生をコントロールしやすくなる。

あとになって後悔しない、いちばん望ましい判断のための根拠と自信をもたらすのだ。だからこそ常に、自分がどうなりたいかを、真剣に考えつづけることが大切である。