脂質制限ダイエットとは?

食べ物の脂質を制限するだけなので簡単そうに思えますが、コツを掴んで実践しないと失敗することも…?!

まずはこの記事で、脂質制限ダイエットのメカニズムや、1日あたりの脂質量を何グラム程度まで抑えるべきなのかを知りましょう。そして脂質制限ダイエットのコツ7選でご紹介する、「食べてはいけないもの」や「食べていいもの」を知り、毎日の食事メニューやレシピに取り入れましょう。

脂質制限ダイエットとは?メカニズムを知ろう
脂質制限ダイエットとは、その名の通り「食事から摂取する脂質を制限するダイエット法」のことで、低脂質ダイエットや脂質カットとも呼ばれています。食べ物に含まれる3大栄養素(脂質・糖質・タンパク質)の中で、脂質は1gあたりのカロリーが高いという特徴があります。そのため、脂質制限をすると自然とカロリーコントロールしやすくなり、ダイエット効果が得られるのです。

脂質制限ダイエットは、糖質制限ダイエットのようにご飯や麺類などの炭水化物を我慢する必要はありません。脂質制限中は脂質を制限してもタンパク質はしっかり摂取するため、筋肉が落ちにくいというメリットもあります。

実際に「脂質制限で痩せた!」という成功体験をしている人も多く、近年注目を集めているダイエット法と言えるでしょう。

脂質の摂取量が多いとどうなるの?
食事から摂取した脂質量が多く、エネルギーとして消費されずに余ってしまうと、肝臓で中性脂肪が合成されます。この中性脂肪もエネルギーとして消費されずに余ってしまうと、内臓脂肪や皮下脂肪として蓄えられてしまいます。

さらに脂質の摂取量が多いと血液中の悪玉コレステロールが増えて血管内部に付着し、その結果、メタボリックシンドローム動脈硬化などの生活習慣病のリスクが高くなってしまいます。

脂質制限中の1日あたりの脂質量は何グラム?
脂質制限ダイエット中は、食事から摂取する脂質量を「1日の摂取エネルギーの20%以下」に抑えましょう。

ただ、1日の摂取エネルギーは性別や運動量によって異なる上に、「脂質量は摂取エネルギーの20%以下」と言われてもイメージしづらいかと思います。

1日の推定エネルギー必要量を元に、脂質制限ダイエット中の脂質量を、1日あたりどれくらいまで制限すれば良いのかを計算しました(脂質1g=9kcalで計算)。

 
推定エネルギー必要量

(1日あたり)
脂質量

(1日あたり)
男性
18~29歳
2,650kcal
58g以下
30~49歳
2,700kcal
60g以下
50~64歳
2,600kcal
57g以下
65~74歳
2,400kcal
53g以下
女性
18~29歳
2,000kcal
44g以下
30~49歳
2,050kcal
45g以下
50~64歳
1,950kcal
43g以下
65~74歳
1,850kcal
41g以下

 

フライドポテトを100g食べただけで、脂質制限中の1日あたりの脂質量の多くを摂取しているのです。脂質制限中は意識的に食事のメニューやレシピを見直し、脂質カットをする必要があると言えるでしょう。

注意① 極端な脂質制限をしない
「お肉を一切食べない」などの、極端な脂質制限はNGです。

この理由は、極端な脂質制限をするとホルモンバランスに悪影響を与え、お肌や髪が乾燥する原因になる可能性があるためです。脂質制限ダイエット中であっても、最低でも1日あたり10~20gの脂質は食事で摂取するようにしましょう。

注意② 脂質制限と糖質制限を同時進行しない
脂質制限ダイエットと糖質制限ダイエットの同時進行はおすすめしません。

脂質制限と糖質制限を同時進行してしまうと、食べられる食材が限定されてしまい、カロリー不足や栄養不足に陥りやすくなるためです。もし両方のダイエットをしたいのであれば、脂質制限と糖質制限を交互に行った方が良いでしょう。

脂質制限ダイエットのコツ7選!成功するやり方
脂質制限ダイエットを成功させるコツは、「食べてはいけないもの」と「食べていいもの」を知ることです。この章でご紹介する「脂質制限ダイエットの7つのコツ」を毎日の食事メニューやレシピに取り入れ、脂質制限ダイエットを成功させましょう。

コツ① 脂質が多い肉類や加工肉を避ける

脂質制限中は、脂質量が多い肉類や加工肉は避けましょう。

同じ肉類でも部位によって脂質量が大きく異なるため、「脂質が少ない肉類」を中心に食事メニューやレシピを考えましょう。以下は牛肉・豚肉・鶏肉・加工肉の100gあたりの脂質量ですので、参考にしてください。

×脂質が多い肉類(100gあたりの脂質量)
・和牛リブロース(56.5g)
・和牛サーロイン(47.5g)
・和牛バラ(50.0g)
・豚バラ(40.1g)
・ベーコン(39.1g)
・ウインナーソーセージ(30.6g)
〇脂質が少ない肉類(100gあたりの脂質量)
・和牛モモ(18.7g)
・和牛ヒレ(15.0g)
・豚ヒレ(1.7g)
・皮なし鶏モモ肉(4.8g)
・皮なし鶏ムネ肉(1.9g)
・鶏ささみ(1.1g)

なお、鶏肉は皮付だと脂質が多くなるため、鶏皮は取り除いて調理をしましょう。

コツ② 良質な脂を摂るよう意識する
脂質制限中は、良質な脂を摂るよう意識しましょう。脂質を構成する脂肪酸は、分子の構造的な違いから以下の4つに分類されます。

 
脂肪酸の種類
食べ物
×
飽和脂肪酸
肉類・乳製品・卵黄・チョコレートなど
トランス脂肪酸
マーガリン・スプレッドなど

一価不飽和脂肪酸

(オメガ9系)
オリーブオイル・アボカドなど
多価不飽和脂肪酸

(オメガ3系やオメガ6系)
青魚・えごま・亜麻仁油など
一価不飽和脂肪酸が多く含まれるオリーブオイルには、血液中のLDLコレステロールを下げる効果があります。また多価不飽和脂肪酸は体内で合成できないため必須脂肪酸とも呼ばれており、動脈硬化血栓を防いだり、血中の中性脂肪を下げたりする作用があります。

肉類の動物性脂肪に偏るのではなく、良質な脂を含む魚を中心とした食事内容にすれば、自然と脂質制限はできるはずです。

コツ③「揚げ物」や「炒め物」は避ける
脂質制限中は、「揚げ物」や「炒め物」といった調理法は避けましょう。茹でる・蒸す・グリル・煮込み・レンジ調理、といった油を使わない調理法であれば、脂質量を下げることに繋がります。

もし炒め物を食べたいのであれば、テフロン加工されたフライパンで油なしで調理をするなど、工夫が必要となります。

コツ④インスタント食品やファーストフードを避ける

脂質制限中は、ファーストフードやインスタント食品などは避けましょう。ファーストフードやインスタント食品は、高カロリーな上に脂質量が多いです。

食品
カロリー
脂質
ハンバーガ
250kcal
10g
チーズバーガー
310kcal
13g
ポテト(M)
400kcal
15g
ナゲット(5P)
270kcal
17g
フライドチキン(1P)
250kcal
15g
カップラーメン
350kcal
15g
カップ焼きそば
430kcal
23g
※おおよその目安を記載

例えば、ランチにハンバーガー+ポテト+ナゲットを注文すれば、摂取カロリーは920kcal、脂質量は40gを超えてしまいます。安価で手軽なインスタント食品やファーストフードですが、脂質制限中に限らず、ダイエット中は避けた方が良いでしょう。

コツ⑤おやつは洋菓子を避ける

脂質制限中のおやつは、なるべく洋菓子(ケーキ)を避けましょう。
洋菓子はチョコレート・生クリーム・バター・ナッツ類など、脂質が多い材料を使用しています。

避けた方が良い洋菓子(100gあたりの脂質量)

・アーモンドチョコレート(40.4g)
・リーフパイ(35.5g)
・デニッシュ(34.0g)
・ソフトビスケット(27.6g)
・レアチーズケーキ(27.5g)
・バターケーキ(25.3g)
・ドーナッツ(20.2g)
・アップルパイ(17.5g)
・ショートケーキ(15.2g)

脂質制限中のおやつは、脂質量が少ない和菓子がおすすめです。

脂質が少ない和菓子(脂質量)

・大福もち(0.5g)
・草もち/こしあん(0.4g)
・みたらし団子(0.4g)
ちまき(0.2g)
・水ようかん(0.2g)
・オレンジゼリー(0.1g)

※可食部100gあたりの脂質量

ただし、脂質が少ない和菓子は糖質量が多くなりますので、食べ過ぎには注意が必要です。

コツ⑥ ナッツやチーズなどは種類に注意

脂質制限中は、おやつやおつまみとして食べる、ナッツ類やチーズ類の種類に注意をしてください。ナッツ類やチーズ類は、選択する種類によって脂質量が大きく異なります。

ナッツ類の脂質量(100gあたりの脂質量)

マカダミアナッツ(76.7g)
・ヘーゼルナッツ(69.3g)
・くるみ(68.8g)
・ピスタチオ(56.1g)
・アーモンド(54.1g)
カシューナッツ(47.6g)
・ピーナッツ(47.0g)
チーズ類の脂質量(100gあたりの脂質量)

・チェダーチーズ(33.8g)
クリームチーズ(33.0g)
・ゴーダ(29.0g)
・エダム(25.0g)
・カマンベール(24.7g)
・カテージ(4.5g)

※可食部100gあたりの脂質量

ナッツ類を食べるならピーナッツ、チーズ類を食べるならカマンベールチーズやカテージチーズを選択すると良いでしょう。ただし、食べ過ぎにはご注意ください。

コツ⑦ 調味料の脂質に注意

脂質制限中は食材だけではなく、調味料の脂質にも注意をしてください。

例えば、マヨネーズやドレッシングの脂質ですね。

脂質量が高い調味料(大さじ1杯あたりの脂質量)

・マヨネーズ(11.4g)
サウザンアイランドドレッシング(5.8g)
・ごまドレッシング(5.7g)
・フレンチドレッシング(4.7g)
・和風ドレッシング(2.1g)

※可食部100gあたりの脂質量から「大さじ1(15g)」あたりの脂質量を当サイトが計算

脂質制限でサラダや野菜中心の食事をしていても、調味料で脂質を摂っていては意味がありません。サラダを食べるのであれば、ノンオイルドレッシングを選択したり、良質な油であるオリーブオイルと塩でシンプルな味付けをしたりするのがおすすめです。

脂質制限ダイエットが失敗しやすい人もいる
脂質制限ダイエットのやり方のコツをまとめると、このようなデメリットがあると言えるでしょう。

脂質制限のデメリット
×こってり系の食事は食べられない
×調理法が制限される
×調味料に制限がある
×外食しづらくなる
脂質制限ダイエットは食べ物の種類だけではなく、調理法や調味料が制限されてしまいます。こってり系の食事が好きな方は、ストレスを感じやすくなるでしょう。

また脂質制限ダイエット中は外食しづらくなるだけではなく、同じようなメニューや味付けになって飽きてしまう可能性もあります。

脂質制限vs糖質制限!どっちが向いているの?
脂質制限ダイエットが失敗しやすい人は、糖質制限ダイエットの方が向いているかもしれません。以下で脂質制限と糖質制限の違いをまとめたので、どちらが向いているのかを見極める参考にしてください。

 
脂質制限
糖質制限
制限する食べ物
脂質が多い肉類や油
ご飯や麺類などの炭水化物
調理法
制限あり
制限なし
外食
しにくい
しやすい
食べる量
減らす必要あり
極端に減らす必要はない
食材の購入費用
かからない
かかる

 

脂質制限はコツを知ってから実践すること

脂質制限ダイエット中のコツは、脂質が多い肉類や洋菓子などを避け、良質な脂が含まれる魚を中心とした食事メニューにすることです。

そして知らず知らずのうちに脂質過多とならないよう、調理法や調味料に注意をする必要があります。

ただ、脂質制限は空腹感を感じやすく、調理法の制限などからストレスを感じてしまう人も多く失敗する人も多いです。