今日からできる血糖値を急上昇させない食事のコツ|糖質制限vs低GI

糖質制限ダイエットが流行したことで「糖質=太る」「ダイエットしたいなら糖質をなるべく摂らないべき」と考える方が増えました。

しかし、やみくもに糖質をカットしては健康被害が出る恐れだけでなく、かえって太りやすい身体になる恐れがあります。

痩せやすい身体づくりをしながらダイエットを進めたいのであれば、糖質カットよりも血糖値コントロールを重視するのがおすすめです。

 

そこで今回は、今日から取り入れられる具体的な血糖値コントロールの方法をご紹介します。また、糖質制限ダイエットの落とし穴についてもまとめました。

血糖値コントロールによるダイエットは、糖質制限よりも食事に対する満足度を高めやすいのが特徴です。「食事制限がどうしても苦手」という方も、ぜひチェックしてみてください。

糖質制限だけでダイエットは成功する?
【まとめ】

結論:糖質を制限するだけのダイエットは成功しづらい

・食事によって太る原因は、「血糖値の上昇」

・やみくもな糖質制限ダイエットには「落とし穴」が。
結論からいうと、糖質を制限するだけのダイエットは成功しづらいといわれています。その理由を解説する前に、食事によって太る原因をおさらいしていきましょう。

食事で太る大きな原因は血糖値の急上昇
食事で太るのは、食後の体内で起こる以下のメカニズムによるものです。

糖質の摂取により血糖値が上昇
血糖値を下げるためにインスリンが分泌
エネルギーとして消費しきれない血糖をインスリンが脂肪に変え、体内に蓄積

ここで問題になるのは血糖値の変化スピードです。血糖値が急に上がれば上がるほど、脳は「早く血糖値を下げなくてはいけない」と判断し、より多くのインスリンを分泌します。

つまり血糖値が急上昇するほど、脂肪を溜め込みやすく、太る流れを作ってしまうのです。

また、血糖値の急上昇は急降下も招きます。血糖値が急降下すると、今度は糖質を脳が欲して食欲を増進。過食に走りかねません。

摂取量を減らすだけの糖質制限ダイエットによる弊害
太りづらい食事とは「血糖値の上昇をゆるやかにする食事」であることが分かります。血糖値は糖質を摂れば摂るほど上がるため、糖質の摂取量を減らせば血糖値が上がりにくくなるのは確かです。

しかし、やみくもな糖質制限ダイエットには「落とし穴」があります。

エネルギーが不足しやすい⇒エネルギーが枯渇した状態で食事するケースが増える⇒血糖値が急激に上がる、というサイクルを作りやすい
筋肉量が減りやすい⇒筋肉に貯蓄できる糖質量が減り、太りやすくなる
満足感を得づらい⇒ストレスがたまりやすく、続けにくい。暴飲暴食の恐れが高まる
以上の理由もあり、糖質制限ダイエットにおいては「はじめのうちはスルスルと痩せたのに、途中から全く変わらない」「リバウンドした」という声がよく聞かれます。

糖質オフやカットよりも血糖値コントロールが大切

自己流の糖質制限ダイエットは短期的に見て効果があっても、長く続けるうちに効果が減っていく傾向にあります。

だからこそ、「1kg減らせば満足」「先週食べすぎちゃったから、今週で調整したい」など、ちょっとしたダイエットには向いているかもしれません。ただ、「10kg以上痩せたい」といった長期間のダイエットには向いていません。

長い目でみて、太りづらく痩せやすい身体をつくるには「血糖値コントロール」の意識をしっかり持つことがおすすめです。

血糖値コントロールによるダイエットのコツ
血糖値コントロールによるダイエットでは、以下の4点がポイントです。

POINT 

1日に必要な糖質量を知る
低GI食品を食事に取り入れる
食べる順番だけでなく食べる組み合わせも考える
運動習慣でインスリンに頼り過ぎない体づくり
詳細を確認し、できることから取り入れていきましょう。

1日に必要な糖質量を知る
【まとめ】

・1日の糖質必要摂取量は、運動量の少ないケースで成人女性は270g、成人男性で330g

・ご飯であれば、1食1杯を3食食べると合計糖質量は約171g。おかずの糖質量にもよりますが、基本的には3食しっかり主食を摂っても問題ない方がほとんど。

何も考えずに糖質を減らしてしまえば、エネルギーが枯渇します。そのような状況で食事をすると、通常よりも血糖値が急激に上昇しやすくなるほか、ダイエット面でも健康面でもさまざまな弊害をもたらすでしょう。1日に必要な糖質量を知り、その量を大幅に下回らないように気を付けましょう。

 

1日の糖質必要摂取量は、運動量の少ないケースで成人女性は270g、成人男性で330gだと言われています。例として主食一食分の糖質量目安をチェックしてみましょう。

食品名
糖質量
ご飯(150g)
57.15g
食パン(6枚切り)
30.3g
生うどん(100g)
63.0g
生そば(100g)
51.8g
乾燥パスタ(100g)
73.4g
シリアル(1食分)
60.0~80.0g

ご飯であれば、1食1杯を3食食べると合計糖質量は約171g。おかずの糖質量にもよりますが、基本的には3食しっかり主食を摂っても問題ない方がほとんどでしょう。

また、外食する予定が入っていて1日の摂取糖質量が多くなりそうな日には、「普段食べているパンを糖質オフパンに変えてみる」など、調整するのがおすすめです。

 

そのほか、糖質が脂肪に変わるまでには48時間かかるといわれています。糖質摂取量が多かった日の翌日は、糖質オフを意識するとよいでしょう。

すべての糖質をオフするのではなく、糖質とうまく付き合う方法を模索することが大切です。

低GI食品を食事に取り入れる
【まとめ】

・GIとは、食後の血糖値上昇度を示す指標。低GI食品とは、GI値55以下を指します。

・同じ量やカロリーのものであっても、GI値が低い食品ほど血糖値の上昇がゆるやかなため、太りづらい食品。低GI食品ほど吸収がゆるやかであるため、腹持ちもよくなります。

・主食はパンや白米のように白色のものほどGI値が高い傾向に。
GIとは、食後の血糖値上昇度を示す指標です。

同じ量やカロリーのものであっても、GI値が低い食品ほど血糖値の上昇がゆるやかなため、太りづらい食品であるといえます。

この低GI食品をうまく食事に取り入れれば、量を減らすことなく血糖値コントロールが可能です。食事の満足度が高いため、ダイエットを続けやすくなるでしょう。なお低GI食品とは、GI値55以下を指します。

 

今回はGI値が高い傾向にある主食(炭水化物)、根菜、果物、お菓子、飲み物の主なGI値をまとめました。

【主食】

食品名
GI値
もち米
87
白米
80
パン(白小麦)
75
玄米
76
うどん
62
そば
59
主食はパンや白米のように白色のものほどGI値が高い傾向にあります。

血糖値コントロールを考えるのであれば、なるべく全粒粉のパンを選んだり、白米に玄米やもち麦を混ぜてみたりなど、工夫がおすすめです。

また、低GI食品ほど吸収がゆるやかであるため、腹持ちもよくなります。

 

【根菜】

食品名
GI値
じゃがいも(ゆで)
76
かぼちゃ
71
にんじん
46
さつまいも(ゆで)
45
野菜のなかでも根菜はGI値が高い傾向にあります。

根菜類はイメージとGI値に少し乖離があるかもしれません。甘いイメージのあるサツマイモもじゃがいもに比べると意外にも低GI食品です。

(ただし、さつまいもは焼くとGI値が大幅にアップする。茹でるか蒸すのがおすすめ)

また、高GI食品でも少量であれば血糖値に与える影響もそこまで大きくありません。高GIの野菜を少し、低GIの野菜をたっぷりというように組み合わせれば、満足感のある食事を叶えられるでしょう。

 

【果物】

食品名
GI値
メロン
68
パイナップル
59
マンゴー
51
ぶどう
46

42
リンゴ
40
果物のGI値もイメージと少し乖離があるかもしれません。

全体的に低GIと言われることもありますが、高いものもあるので注意しましょう。

 

【お菓子】

食品名
GI値
ドーナツ
75
ポテトチップス(塩味)
56
ポップコーン
55
チョコレート
49
お菓子のGI値は商品によっても異なるため、大まかなイメージとしてご確認ください。

お菓子は精製される際に砂糖が多く使われるものは、GI値は高くなってしまいます。血糖値コントロールを考えるのであれば、糖質オフや低GIをウリとしているお菓子を選ぶか、手作りするのがおすすめです。

手作りする際には砂糖の代わりにラカントやオリゴ糖、エリスリトールを使うと、大幅にGI値を下げられます。はちみつもアカシア蜂蜜であれば、低GI食品に分類されるためおすすめです。

 

【飲み物・お酒】

食品名
GI値
コーラ
63
豆乳
40
トマトジュース
33
牛乳
30
飲み物も一部は商品によってGI値が異なるため、大まかなイメージとしてご確認ください。

飲み物からの糖質摂取は基本的に必要不可欠ではありません。常飲するものであればなおのこと、なるべく低GI食品を選ぶことがダイエットの助けになるでしょう。

 GI値よりも重要??「GL値」にも注目しよう
GI値は食後の血糖値上昇度を示す指標であり、高ければ高いほど注意が必要ですが、「実際に食べる量」を考慮したGL値も近年注目されています。

GL値=GI値×各食材に含まれる炭水化物量(g)÷100

GL値によって、1回の食事当たりの血糖値の上昇度を知ることができます。

食べる順番だけでなく食べる組み合わせも考える

ダイエット中の食べ方について、野菜から食べるというのはよく言われることであり、これは血糖値コントロールのうえでも正しいです。

しかし、この知識を持っている人でもやってしまいがちなのが、カロリーが気になるからといっておにぎりだけや食パンだけで食事を済ませてしまうことです。

これではカロリーを制限できたとしても、血糖値のコントロールができず、結果的に太りやすい状態を作り出してしまいます。

食事を摂るときは、なるべく主食と一緒に食物繊維(特に水溶性食物繊維)や脂質、たんぱく質が豊富な食品と一緒に食べましょう。時間がどうしても取れないときには、低GIかつたんぱく質が豊富な無調整豆乳を取り入れるのがおすすめです。

運動習慣でインスリンに頼り過ぎない体づくり
運動時には血中の糖が優先的に使用されるため、運動後はすぐに血糖値が下がります。さらに運動を習慣づけることで、血糖値を下げるインスリンのはたらきが活性化されます。過剰なインスリン分泌を防ぐことで、太りづらく痩せやすい身体づくりにつながります。

 

おすすめの運動は、有酸素運動無酸素運動(筋トレ)です。

可能であれば両方を組み合わて、より血糖値コントロールが巧みな身体づくりに役立つという研究結果も出ています。

なお血糖値を下げるためとはいえ、食後すぐの運動は厳禁です。

摂取した糖は、食後約1時間で筋肉に運ばれるといいます。このタイミングでの運動が血糖値減少には効果的だとされるため、食後1時間後を目安に運動習慣を取り入れてみましょう。