糖質を上手にコントロール

糖質制限」と「ロカボ」の違いから「GI値」、糖質コントロールに有効な食事法まで解説しています。

間違った糖質コントロールは健康を害する危険もあります。糖質と上手に向き合うための参考にしてください。

糖質をコントロールするための前提知識
まずは、糖質をコントロールするために知っておきたい基本的な前提知識を紹介します。

糖質が多い食材
糖質が意外と多い食材もあるので代表的なものについては知っておきましょう。

 
100gあたりの糖質量
砂糖
99g
白米
77.1g
玄米
71.3g
食パン
42.2g
さつまいも
30.3g
バナナ
21.4g
西洋かぼちゃ
17.2g
じゃがいも
15.3g

 

基本的にご飯やパンなどの炭水化物、甘いもの、イモ類は糖質量が多いです。白米や玄米は炊く前の状態における糖質量であり、炊くことによって半分くらいになりますが、それでも多い部類です。また、バナナは栄養価が高く、健康的なイメージもありますが糖質量は多めです。

一日に必要な糖質量
人間が一日に必要となる糖質量を知らないと、食材単位の糖質量を知ったとしても、どれくらい食べていいのか分かりませんよね。糖質から摂取すべきエネルギー量は、1日に食事から摂取するエネルギー(kcal)の50~65%が適正とされています。成人男性、成人女性が1日に摂るべき糖質量は次の通りです。

●成人男性

必要なエネルギー量:2200kcal

糖質から摂るべきエネルギー量:1100kcal~1,430kcal

糖質量に換算:275g~358g ※糖質1g=4kcalとして計算

●成人女性

必要なエネルギー量:1800kcal

糖質から摂るべきエネルギー量:900kcal~1,170

糖質量に換算:225g~293g ※糖質1g=4kcalとして計算
つまり、普通に生活している方であれば一日に220g~350gの糖質は必要になります。

糖質の最低必要量はおよそ 100 g
糖質コントロールはあくまでも糖質量の調整であり、糖質を制限すればいいというものではありません。厚生労働省が公表している食事摂取基準では、推奨量ではないという注意書きはあるものの、糖質(ブドウ糖、炭水化物)の推定必要量は100g/日という記述があります。糖質を減らし過ぎると、疲れやすくなったり、筋肉量が低下するといった健康被害を起こす可能性があるからです。

糖質量は1日130gを目安にしよう
糖質コントロールにおいては、一日に120g~130gを目安にするのがおすすめです。糖質は意外と簡単に300g近くは摂ってしまうので、常に意識するようにしましょう。とはいえ、糖質量が一日120g~130gを多少上回るのは仕方ありませんが、100g以下になるようなことがないようには気を付けましょう。

糖質を抑えると瘦せる理由
糖質制限ダイエット」が一般的になっていますが、なぜ糖質を減らすことがダイエットになるのかを知らない方もいるでしょう。糖質=太るという単純なものではありません。また、糖質は悪いものではなく、糖質の過剰摂取が問題なのです。糖質を過剰摂取すると、血糖値が急激に上がります。その急激に上がった血糖値を下げるために体内ではインスリンを分泌します。このインスリンブドウ糖を脂肪に変えてしまいます。

つまり、太らないためには血糖値の上昇を抑えることが重要なのです。

糖質制限」「ロカボ」「GI値
糖質コントロールを実践するにあたり、知っておきたい専門用語があります。代表的なのが「糖質制限」「ロカボ」「GI値」です。まず、「糖質制限」と「ロカボ」を混同している方は多いですが、微妙に異なります。

糖質制限」とは、字のごとく、糖質を制限することですが、“厳しく”糖質を制限することを指して使われます。1日の総糖質量を60g以下に抑えるような極端なケースもあります。
対して、「ロカボ」は“ゆるい”糖質制限です。1日の糖質量は120g~130gを目安になります。両者は目的も若干異なります。

糖質制限は、糖質を厳しく制限することで、体内の脂肪からケトン体が作られ、そのケトン体がエネルギーとして使うことが目的です。ロカボは、ケトン体をエネルギーとして使うのではなく、糖質量を適正にすることで血糖値の上昇を抑えるのが目的です。過度な糖質制限はリスクがあるので、ゆるく糖質を制限するロカボの方が続けやすいでしょう。

糖質とは似て非なる「GI値
GI値とは、食後の血糖値上昇を表す指標です。GI値が高い食材は血糖値が急上昇、逆にGI値が低い食材は血糖値の上昇がゆるやかです。基本的に糖質量が多いほどGI値も高くなりますが、完全に比例するわけではありません。主な食べ物のGI値については後述します。

糖質をコントロールするメリット
では、糖質をコントロールする代表的なメリットを紹介します。現代人は、糖質過多の傾向があるので、糖質量を上手にコントロールすることで様々なメリットがあります。

メリット➀ ダイエット効果がある
糖質をコントロールする主な目的はダイエットではないでしょうか。実際、糖質を上手にコントロールすることで体重は減りやすくなります。(理由については前述)また、糖質コントロール中でもタンパク質は積極的に摂取するので筋肉量は減りにくくリバウンドしにくいというメリットもあります。

メリット② ホルモンバランスが整う
糖質が多い食事ばかりだと、血糖値は高い状態が続いてしまいます。そうすると、体内ではインスリンを分泌し続けることになりますが、結果的にインスリンを分泌する膵臓が疲弊します。インスリンが充分に分泌できないと血糖値は下がりません。血糖値が下がらないと、副交感神経と交感神経のバランスが崩れてしまいます。つまり、ホルモンバランスに悪影響を及ぼすのです。糖質のコントロールには、ダイエット効果だけでなく、ホルモンバランスを正すという役割もあるのです。

メリット③ 食事の量自体は減らす必要はない
糖質コントロール=食事制限というイメージを持つ方もいるかもしれません。しかし、実際は食事量を制限するものではなく、食事の内容を調整するものです。食事の満足感が著しくなくなるわけではないので、ストレスも溜まりにくいでしょう。

糖質コントロールに有効な食事法

繰り返しになりますが、本来「糖質コントロール」とは一概に糖質を減らすものではありません。しかし、現代人は糖質過多なので基本的には糖質を減らすことになります。ここでは、上手に糖質を減らす方法について解説します。

白米やパンなどの主食は控えめにする
糖質コントロールにおいて、最も簡単で実践しやすい方法でしょう。糖質量が多い白米やパンを控えめにするだけでも大幅に糖質量を減らすことができます。ただ完全にカットするわけではなく、ご飯を半分にしたり、夜だけは主食を抜くといったやり方おすすめです。また、主食をこんにゃく麵やおからなど糖質が少ないものに置き換えるのもいいでしょう。

低GI食品を積極的に摂る
糖質をコントロールする一番の目的は、食後の血糖値上昇を抑えることです。

つまり、糖質量だけでなく、「GI値」に目を向けて、GI値が低い食事に切り替えるのがおすすめです。

主な食品のGI値一覧
食品名
GI値
じゃがいも(ゆで)
78
イカ
76
白パン
75
白米(炊飯後)
73
玄米(炊飯後)
68
かぼちゃ(ゆで)
64
さつまいも(ゆで)
63
はちみつ
61
うどん
55
バナナ
51
スパゲッティ
48
チョコレート
40
にんじん(ゆで)
39
大豆
16

 

同じ炭水化物、果物のなかでもGI値が高いものとそうでないものがあります。チョコレートなどは意外とGI値が低いと思われた食品も多いのではないでしょうか。ただし、GI値は「炭水化物量50g分」が基準となっているため、各食品の食べる量を考慮したものではありません。そこで最近では、食品に含まれる炭水化物量とGI値を掛け合わせた「GL値」という考え方があります。

GL値計算方法 

GL値=GI値×各食材に含まれる炭水化物量(g)÷100
GL値によって、一人前の食事単位での血糖値の上昇率が分かるので、こちらも参考にするのがおすすめです。

食物繊維が多い食材から食べる

食事の最初に野菜を食べる「ベジファースト」は有名ですが、食物繊維が多い食材から食べることは糖質をコントロールする上で非常に有効です。食物繊維の働きによって、血糖値の上昇はゆるやかになります。おすすめは、野菜⇒魚・肉⇒ご飯の順番です。もっとも糖質量が多いご飯を最後に食べることで、血糖値の上昇を抑えることができます。

また、早食いは血糖値の急上昇を招くので絶対にやめましょう。

糖質量チェックはスマホアプリでも
食材や料理ごとのカロリーはなんとなく理解していても、糖質量まではなかなか分からないですよね。

最近は、食品の糖質量を測定してくれるスマホアプリがあります。種類も様々あるので、気になる方はぜひご活用ください。

糖質コントロールを可能にするサプリメント
糖質コントロールは難しい
ここまで糖質コントロールについて解説してきましたが、実際にやろうと思うと意外と難しいものです。よくあるのが糖質をカットし過ぎてしまうケースです。糖質は人間が生きていく上で重要な栄養素なので、制限し過ぎはよくありません。糖質コントロールはあくまでも「調整」であり、「制限」でないことは肝に銘じておきましょう。