「話が長い人」は嫌われる。

「話が長い人」は嫌われる。簡潔な表現を意識しよう
 
 
「話が長い人」を好きな人は、あまりいないと思う。

しかし世の中には、いつも話が長い人がたくさんいる。それもかなり多い。むしろ、常に「簡潔に、かつクリアに話ができる」人は、貴重でありがたい存在だと感じるほどだ。

なぜこれほどに、「話が長い人」は多いのだろうか?

その原因はさまざまで、かつ複合的だと推測している。自分の話が長いことをまったく意識できていない人もいるし、一方で、話が長いことを自覚しながらも、どうしても延び延びになってしまう人もいる。

なぜ、多くの人の話は長くなりがちなのか?
どういう点に気をつければ、もっと簡潔に話ができるようになるのか?

代表的な原因を挙げながら、順に対策を考えていこう。

 

話の 「組み立て」 を意識する
そもそも根本的に、話をきちんと「構成」しようと意識している人は多くない。頭に浮かんだことを、単にそのまま言葉に置き換えていくだけだ。

もちろん、とりとめもない会話を楽しむだけなのであればそれで問題ないだろう。「会話する」ことそのものが、いちばんの目的の場合もあるからだ。

しかし問題は、相手に何かまとまった考えを伝えなければならないときだ。普段からきちんと話すことを訓練していないと、整理されていない「思いつき」をダラダラと話すことになってしまう。

仕事においてもこの調子だと、話が長く、コミュニケーション能力が低い人間だという不名誉な評価を受けてしまう。

大切なのは、話をしながらも、いつも「内容の優先順位」を明確に頭に置いておくこと。

相手には何を伝えるべきなのか、それをしっかりとイメージしておくのだ。だからこそ、まずは結論からズバッと言ってしまう方法は有効。もしどうしても追加したいことがあるなら、そのあとで適切に続ければいい。

伝えるべき「いちばん大切な内容」とその周辺情報をごちゃまぜにして、とりとめもなく続けていくから話が長くなってしまう。

相手に伝えるべき最重要事項はいったいなんなのか?
それを考える習慣ができると、話はわかりやすく、簡潔になっていく。

 

時間的な感覚をしっかりと持つ
人間は、基本的にマルチタスクが苦手といわれている。「話をする」のは1つの動作に見えるが、「話をしながら、時間感覚もつかむ」というのは、マルチタスクに近いだろう。

話の内容に熱中してしまうと、つい、自分がどれくらいの量を話しているのかがわからなくなってしまう人は多い。

これは、セミナーの登壇者を見ているとよくわかる。たとえば、20分という時間があらかじめ割り当てられている場合、登壇者は事前に準備などもして20分で収めようとするのが普通だ。

しかし、登壇に慣れていないと、多くの人が時間をオーバーしてしまう。タイムキーパーが残り時間のパネルで注意をうながしても、話は長引き、スケジュールがどんどん押していくというのはセミナーでよくある光景。

このことからもわかる通り、人間は、話の時間を収めるための時間感覚を持つことが苦手だ。ましてや、普段の会話においては取り決められた時間制限すらない。

だからこそ、いつも「思っているよりも短めに」会話を収めようとする努力は大切。「話が長い」と呆れられることはあっても、「話が短い」ことで不満を感じられるケースはめったにない。このことをよく覚えておきたい。

 

「自分」 ではなく 「相手」 が主役のつもりで
話が長い自覚のない人は、往々にして「話す自分が主役である」という意識が強すぎる。だから、聞く相手のことをあまり考えられなくなるのだ。

これに「自分のことが好きすぎる」という要素が加わるとさらに悪くなる。自分語りが止まらなくなり、相手にはどうでもいい話を延々と続けることになりがちだ。

話をするときは、前提として「相手に貴重な時間をもらっている」ことを強く意識することが大切。だから、ムダに話を長引かせるのは時間泥棒ともいえる。

話を聞く人にとって、熱をこめて話をする相手を途中でさえぎるのはかなり難しいこと。だから、面と向かっては言われないけれど、実は相手に心の中でウンザリされていることはよくある。

「会話では相手が主役」という発想を持つことができれば、相手がどうすれば満足するかを考えられるはず。

だから自然に、簡潔で、きちんと伝わる話をしようと心がけるようになる。会話は、自分ファーストではなく、相手ファーストで。

これが、話上手になるために大切な考え方だ。

 

 

この記事は、アースメディア代表 松本 淳 著 『リクルートに会社を売った男が教える仕事で伸びる50のルール』(フォレスト出版)からの一部抜粋です。