食物繊維がダイエットに欠かせない理由

食物繊維がダイエットに欠かせない理由とは?【ダイエット中の摂取量目安】

ダイエット中、食物繊維を摂取することはカロリー管理することと同じくらい重要です。
ダイエットをスムーズに進めるためには欠かせないといっても過言ではありません。

食物繊維は人間の消化酵素では消化されない成分で、英語で「dietary fiber(ダイエタリーファイバー)」と言います。

食物繊維自体は消化されないので、体を動かしたり、細胞を作るなどのエネルギー源にはなりません。
しかし、ダイエットはもちろん、体に与える有用性から「第六の栄養素」とも言われるほど、重要な存在です。

この記事では食物繊維がダイエットに欠かせない理由、食物繊維の働きについてお伝えしていきます!

ダイエットに食物繊維が欠かせない理由
食物繊維は日々の健康維持にはもちろん、ダイエットにも直接関わるような働きをしてくれています。

特にダイエットでは食事の内容と摂り方など日々の食事の影響が大きく、食物繊維をしっかり摂っていることで、太りにくい状態へと体を整えることに繋がります。

食物繊維がダイエットに与える効果には、

満腹感を増やしてくれる
食事に含まれる糖の吸収を抑えて食後の血糖値の上昇を抑える
脂質の排出を助ける
腸内環境を整える
食物繊維を意識すると食事のバランスがよくなる
といった面で有効です。

満腹感を増やしてくれる
水溶性の食物繊維は水分を含むとドロドロなゼリー状になり、胃腸内をゆっくりと移動します。
そのため、食べた後の満腹感を長持ちさせてくれる働きがあります。

また、不溶性食物繊維を含む食材の場合は自然と噛む回数が増えるため、満腹感アップが期待できます。

食物繊維が多い野菜などは料理のカサ増しにもなるため、糖質が多い主食の量を減らした時の食事の満足度を高めてくれるのにも役立ちます。

食事に含まれる糖の吸収を抑えて食後の血糖値の上昇を抑える
水溶性食物繊維は一緒に摂る糖の吸収を抑える働きがあり、これによって食後の急激な血糖値の上昇を防いでくれます。

血糖値が上昇するとインスリンが分泌されて、糖エネルギーを筋肉など各細胞に届けます。そして余った糖エネルギーは脂肪に蓄積させる形で処理されます。

これによって脂肪が付きやすい状況になってしまうため、ダイエットの分野でも血糖値の上昇を抑えることは太りにくい体質を作るのに大きく影響します。

そのため、血糖値の上昇が緩やかな低GI食品はダイエットでも知られており、インスリンダイエットとして注目されています。
食物繊維も同様に血糖値の上昇を穏やかにしてくれる働きがあるので、ダイエットに欠かせません。

脂質の排出を助ける
水溶性食物繊維は糖質の吸収を抑えるだけでなく、コレステロールの吸収を抑えて排出をサポートする働きがあります。脂っこい食事などをする時には野菜を食べるというのは、こういった働きにも関係しています。

腸内環境を整える
ダイエットをすると便秘になるという人も多いですが、これは食事の量自体が減る以外に、食物繊維や水分の摂取量が減ってしまうことも影響しています。

不溶性食物繊維は水分を含むと膨らみ、便のかさを増やし、腸内を刺激することで蠕動運動(便意を促す)を促進させ排出をサポートします。

さらに大腸内で発酵や分解されることで、腸内細菌の善玉菌の餌となり、他の2つの悪玉菌・日和菌のバランスを善玉菌優位になるように整えるのにも働きます。

食物繊維はヤセ菌を増やしてくれる
特に腸内環境を整えることはヤセ菌(バクテロイデーテス)を増やすことにも繋がり、ファーミキューテスという通称デブ菌(腸内で栄養吸収を多く行う菌)を減らすことにも繋がるため、ダイエットに大きく影響すると考えられています。

また、食物繊維は空気中や食物に含まれる有害物質も巻き込んで排出されるため、腸内の健康を維持、不要なものを排出するデトックスにも働きます。

食物繊維を意識すると食事のバランスがよくなる
食物繊維が多く含まれる食材は野菜、きのこ類、海藻類、豆や穀類などがあります。

主食になる白米やパンなどの穀類以外の食品はカロリーが低く、栄養面はビタミンやミネラルが豊富です。ビタミン・ミネラルは5大栄養素に含まれる体を整えるために必要な栄養です。

ダイエット中に食物繊維を摂ることを意識することで、自然と炭水化物・たんぱく質・脂質・ビタミン・ミネラルのバランスが良くなり、食事内容もヘルシーなものになっていきます。

ダイエット中は糖質やカロリーの摂りすぎに注意しながら、筋肉などの元となるたんぱく質、そして体の様々な活動に関わる働きをサポートするビタミン・ミネラルも不足しないことが大切です。

不健康に痩せるのではなく、筋肉もあり、メリハリのある身体を目指す上でも食物繊維を含む食材を取り入れるのが良いダイエットのポイントとなります。

食物繊維の種類
 

食物繊維には大きく不溶性食物繊維と水溶性食物繊維の2種類があります。
この2つは特徴や働きが違いますが、どちらも健康維持に関わる働きをしています。

食べ物の中には不溶性食物繊維・水溶性食物繊維をどちらも含む食材も多く、おかずの中に1品プラスすることで、食事の食物繊維摂取量を無理なく増やすことができます。

不溶性食物繊維
穀類や豆類、根菜、きのこ類、果物や海藻に含まれるセルロースやヘミロースペクチン、穀類のでんぷんに含まれるレジスタントスターチなど水に溶けない性質を持つ食物繊維です。

ダイエットの面ではお通じのリズムを整え、デトックスをサポート。食事自体のカサ増しや咀嚼回数が自然と増えることによる食べ過ぎ防止などに役立ちます。

不溶性食物繊維は、

腸内で水分を吸収して膨らむ
膨らむことで腸管内を刺激して蠕動運動を促す
便のカサ増しをしてお通じのリズムを整える
大腸内に発生した有害物質の排出
大腸内で発酵・分解されることで腸内環境を整える
などの働きがあります。

不溶性食物繊維を含む代表的な食材は、

玄米・ライ麦オートミールなどの穀類
ごぼう・れんこん・かぼちゃ・枝豆・モロヘイヤ・グリーンピース
きくらげ・しいたけ・しめじなどのきのこ類
干し柿・アボカド・りんごなどの果物
いんげん豆・あずき・えんどう・大豆・きなこなどの豆類
などがあります。

水溶性食物繊維
水溶性食物繊維は腸内で水分を含むと溶けてゼリー状に変化し、食事中の糖質やコレステロールの吸収を妨げてくれます。ペクチン(水溶性)やアルギン酸グルコマンナン、グアガムなどが代表的です。

ダイエットでは胃腸内をゆっくりと移動するため、食べた後の満腹感長持ちさせ、空腹感を抑えたり、糖質やコレステロールの吸収を抑えるのに役立ちます。

水溶性食物繊維が豊富な食材は

大麦・ライ麦オートミール・そばなどの穀類
ごぼう・だいこん・かぼちゃ・にんじん・モロヘイヤ・青ピーマン・セロリなどの野菜
りんご・いちご・バナナ・いちじく・グレープフルーツなどの果物
いんげん豆・ささげ・あずき・えんどう・大豆・きなこ・ひきわり納豆などの豆類
わかめ・昆布などの海藻
こんにゃく
などがあります。

食物繊維が不足しやすい現代人の食事事情
現代人の食事は手軽にお腹を満たす食べ物が人気で、手軽に食べられるパンなど、いわゆる欧米化した食生活では食物繊維が不足しやすいです。

ファストフードなど主食となるご飯やパン、お肉などのたんぱく質がメインで、食物繊維が多い野菜やきのこ、海藻類などの摂取量は自然と少なくなっています。

主食が多い食べ物は糖質も多いため、エネルギー摂取過多になりやすく、食物繊維が少ないということは、その分、糖の吸収も多くなり、太りやすくなってしまいます。

食物繊維の摂取量目安はどれくらい?
食物繊維の一日の摂取目標量は、20代から40代の男性が20g以上、女性は18g以上とされています。

実際の現代人の食物繊維摂取量はこちら。

 
男性
女性
20~29歳
13.1g
11.8g
30~39歳
13.3g
12.5g
40~49歳
13.9g
13.0g
50~59歳
14.8g
14.4g
60~69歳
16.8g
16.8g
平成27年に調べた結果ですが、全年代が目標の食物繊維摂取量に届いていないことがわかります。

※出典:厚生労働省「日本人の食事摂取基準2015年版」より

※出典:平成27年 国民健康・栄養調査結果の概要より

効率の良い食物繊維の摂り方は?

日々の食事で食べる量を増やさずに食物繊維を効率よく摂るには、白米など食事の中で多く食べる比率の主食に食物繊維が多い種類に変えるのがおすすめ。

よく一日に必要な食物繊維を摂るにはボール山盛りのサラダを食べる必要があると言われていますが、少しの工夫で無理なく食物繊維の摂取量を増やしていけます。

ご飯:食物繊維が豊富な玄米や雑穀米、発芽玄米、金芽米にして不溶性食物繊維の量を増やす
パン:ふすまパン、ライ麦パン、全粒粉のパンがおすすめ
麺類:うどんよりもそばの方が食物繊維が豊富
たんぱく質食材:植物性たんぱく質の豆腐などの大豆製品を取り入れる
お米やパンに含まれる白米や小麦粉どちらも精米、精製していないものを使っている方が食物繊維だけでなく、ビタミンやミネラルも多く含まれるため、栄養バランスを整えるのにもおすすめです。

日本人の食文化に合っていて食物繊維を摂りながらダイエットにも良い料理は和食です。
欧米寄りの食事が多い人は週の食事の内容を和食に切り替えていくというように意識しましょう。

ダイエット中の食べ方はベジファースト
テレビやメディアなどでも、「食事は野菜から食べる」のを勧められていますが、これには糖の吸収や脂肪のためこみを防ぐ意味があり、血糖値の上昇を抑える食物繊維の働きが関係しています。
この性質から食べる順番も大切だと言うことがわかります。

そのため、ダイエット中の食事は「野菜から先に食べる」を意識することがポイントになります。

この考え方は、「ベジファースト」と呼ばれる、

食物繊維が豊富な野菜やおひたし、味噌汁、きのこ類などから食べる
その後に肉や魚などのたんぱく質
最後に糖質が多い白米、パン、麺類などの炭水化物
の順番で食べるダイエット法として定着しています。

野菜を食べる時にもコーン、かぼちゃ、イモ類など糖質が多い野菜・根菜よりも糖質が少ない葉野菜、きのこ類、海藻類などの食材から食べることがおすすめ。

また、砂糖などで味付けされた野菜のおかずも、食べる順番としては後にした方が糖の吸収を穏やかにしてくれます。

そしてしっかりとよく噛んで食べることで満足感もアップし、食事量を控えても満腹感を得られやすくなります。