髪にとってなぜ大切な頭皮マッサージ

頭皮マッサージは薄毛や抜け毛対策におすすめですが、なぜ髪の健康につながるのでしょうか?頭皮と髪の関係を理解したうえで、正しい頭皮マッサージ方法を知り、毎日の習慣に取り入れましょう。

頭皮は健康な髪をつくり育てる
毛髪は頭皮表面の奥深くでつくられ成長していきます。頭皮の状態が悪ければ、健康な毛髪は育ちません。

健康な頭皮は、柔らかく適度な弾力がありますが、薄毛や抜け毛など髪の悩みがある人の頭皮に触れると、カチカチに硬くなっているケースが多いといわれます。これは、頭皮の血流が滞っているサイン。こうした頭皮では健康な髪は育ちにくく、生えても弱々しかったり、太い髪に成長しないまま抜けてしまったりします。そういった場合に取り入れてほしいのが頭皮マッサージです。

健康な髪は健康な頭皮から育ちます。健康な毛髪を育むためにも、頭皮マッサージ等で頭皮環境を整え、常によい状態に保つことが大切です。

頭皮の血流をよくすれば、健康な髪が育つ


頭皮マッサージがなぜ頭皮にいいのか、詳しく見ていきましょう。

髪は皮膚の一部が変化したもので、頭皮に埋もれている部分を「毛根」といいます。髪の成長には、特にこの毛根がきちんと働いていることが大切です。

毛根の最深部の「毛球(もうきゅう)」には髪をつくり出す「毛母細胞」という細胞が存在し、細胞分裂を繰り返すことで髪を成長させていきます。この分裂を助けるのが、毛根の根元の「毛乳頭」にある毛細血管から運ばれてくる酸素や栄養です。髪の健やかな成長には、頭皮の血流が大きく影響しているのです。

頭皮の血流が悪化して毛根が栄養不足になると、生えてくるのは、細く抜けやすい毛に。また、血流が悪化すると頭皮が乾燥しやすくなったり、老廃物がたまりやすくなったりすることもあり、放置すれば薄毛や抜け毛をどんどん進めてしまうことになります。

逆に頭皮の血流をよくすれば、十分な酸素や栄養が毛根に行きわたり、毛母細胞の細胞分裂が活発になって、太くしっかりとした髪が育つことにつながります。

そこでおすすめなのが、頭皮マッサージなのです頭皮を柔らかくして、血流を促し、髪のもとになる毛母細胞を活性化することで、健康な髪が育ちます。

頭皮の血流をよくする「頭皮マッサージ」の方法
頭皮マッサージでは、もんだり押したりすることで頭皮の血流をよくします。気軽にできますが、力まかせに強く押したり、やり過ぎたりすると、かえって頭皮にダメージを与えてしまうので注意が必要です。指の腹を使って、気持ちよいと感じる程度の力で適度に行うようにしましょう。もちろん爪を立てるのはNGです。

また、湿疹や炎症などの頭皮トラブルがある時や、発熱や腹痛などがある時、気分が悪い時、お酒を飲んだ時のマッサージは控えてください。

頭皮が乾燥気味の人は、頭皮に適度な潤いを与え、頭皮マッサージに適した環境をつくるマッサージトニックやクリームなどを使用してもよいでしょう。

それではさっそく、基本の頭皮マッサージをご紹介します。下のイラストも参考にして、トライしてみてください。呼吸を楽にして、リラックスして行いましょう。

頭皮マッサージ:ステップ1>
首から肩にかけて、親指以外の4本の指で軽くさすりウォーミングアップ

重い頭を支える肩や首は、血流が悪くなりがち。この部分の血流が滞ると、頭部への血流も悪くなります。頭皮マッサージの準備として、胸鎖乳突筋のまわりを3回、斜め下へさすり下ろすように、やさしくさすって血流を促しましょう。

頭皮マッサージ:ステップ2>
首のつけ根と後頭部の2カ所を、5本の指先で上下・左右に3回ずつ揺らす

頭皮を動かすイメージです。頭皮の血流が悪くなっている時は、動きにくいと感じるかもしれません。動きにくいからといって無理せず、ゆっくりと優しく動かしましょう。

頭皮マッサージ:ステップ3>
額の生え際に5本指を置き、頭皮を正中線(頭頂部の左右中心線)に寄せる。そのまま指を少しずつ後ろにずらしていき、頭頂部まで4か所を同様に寄せる

髪をかき分けて、指で頭皮をしっかり捉えることを意識しましょう。ただし、爪は立てないようにしましょう。

頭皮マッサージ:ステップ4>
5本の指を頭の左右の角(頭のハチ)に置き、頭皮を持ち上げる

息を止めず、深呼吸をしながらゆっくりと行います。滞っていた血流がよくなるのを実感しましょう。

頭皮マッサージ:ステップ5>
指先を頭皮に当て、頭全体を10本の指でトントンとたたく

最後に頭全体を軽くトントンとたたくと、タッピングによって頭皮がリラックスする効果があります。これで終了です。

頭皮マッサージを習慣にしよう
頭皮マッサージは道具も必要なく、場所を選ばずに実施でき、簡単でしかも効果的な頭皮ケアです。ぜひ毎日の習慣に取り入れてください。頭皮マッサージを続けていると、初めは硬くカチカチだった頭皮も、徐々に柔らかさを感じられるようになります。

また、毎日頭皮に触れることで、頭皮の状態をチェックすることもできます。触ってみて、いつもより硬く感じたり、頭皮が動きにくいと感じたりする時は、何らかの原因で血流が悪くなっているのかもしれません。緊張が強い時や疲れやストレスがたまっている時は頭皮が硬くなりやすいので、生活スタイルを見直してみましょう。

頭皮マッサージの回数や時間に特に決まりはありませんが、まずは朝晩の2回、各3~4分程度行ってみましょう。朝はヘアセットの時に、夜はシャンプー時になど「ついで」に頭皮マッサージをすることでルーティーンに組み込まれて、習慣化しやすくなります。

頭皮マッサージに加えて見直したい生活習慣
頭皮や毛髪の健康には、日頃の生活習慣も関係しています。全身の血流を悪くするような生活を送っていれば、当然、頭皮の血流も悪くなり、薄毛や抜け毛につながることに。日常生活では次のことを心がけましょう。

●栄養バランスのよい食事を摂る……食生活が偏ると頭皮に十分な栄養補給ができなくなり、丈夫な毛髪が育ちません。髪の材料となるタンパク質や、髪の成長を助けるビタミン・ミネラル(鉄や亜鉛、銅など)は特に重要ですが、特定の食品に偏らず、幅広い食品から過不足なく栄養素を摂ることが大切です。また、食品添加物はミネラルの吸収を阻害しやすいので、加工食品の摂り過ぎにも注意しましょう。

●睡眠を十分にとる……睡眠不足になると自律神経の働きが乱れて血流が悪くなります。規則正しい生活を送り、深く質のよい睡眠をとって自律神経の働きを整えることが大切です。最適な睡眠時間は人それぞれですが、朝起きた時に疲れが残っていたり、日中に眠気を感じたりするようなら、睡眠時間が足りていない可能性があるので注意が必要です。

●ストレスをためない……ストレスは自律神経の働きを乱し、血流を悪くする原因となります。また、慢性的なストレスは皮脂の過剰分泌を招くことがあり、この場合、さらに頭皮環境が悪化して健康な毛髪が育ちにくくなります。ストレスのもとから距離を置く、受け止め方を変えてみるなどストレスコントロールのスキルを身につけるとともに、自分に合ったリラックス法を取り入れ、上手にストレスを解消しましょう。

●たばこを吸わない……たばこの煙に含まれるニコチンには毛細血管を収縮させる作用があり、頭皮の血流が滞る原因になります。同様にたばこの煙に含まれる一酸化炭素は、血液中のヘモグロビンと結合して酸素の運搬を阻害する作用があり、頭皮を酸欠状態にして薄毛や抜け毛を進める原因になります。

●紫外線を避ける……強い紫外線を浴びると頭皮や毛髪が乾燥し、傷みやすくなります。また、紫外線は活性酸素を発生させ、頭皮の老化を進めてしまいます。長時間屋外で過ごす際は、帽子をかぶったり日傘をさしたりして紫外線対策をしましょう。帽子は通気性のよい素材を選び、常に清潔を保つことが大事です。

まとめ
健康な髪のために、日頃から丹精を込めて頭皮ケアをしましょう。しっかりと血流を促して健やかな頭皮環境をつくることが、薄毛対策の第一歩です。手軽にできて、しかも効果の高い頭皮マッサージは、ぜひ毎日の習慣にしてください。