運動強度とは

 

運動強度は、運動時の負荷やきつさに相当します。運動強度の表し方には、「METs(メッツ)」、「心拍数」、「自覚的運動強度(RPE)」があります。
 効果的に運動やトレーニングを行うためには、「FITT※」の原則を考えて計画を立てます1)。どれだけ長時間運動を行っても強度が不十分であれば運動効果は得られにくかったり、反対に運動強度が高すぎると傷害リスクが高くなりトレーニングを継続することが難しくなったりします。目的に合わせて適切に運動強度を設定することは、運動を効果的に行うために必要不可欠な要素なのです。
※FITT:
FITTとは、運動処方に大切な4つのポイントのことで、Frequency:運動頻度、Intensity:運動強度、Time:運動時間、Type of exercise:トレーニングの種類を示します。
運動強度の指標
METs(メッツ)
 2006年に「健康づくりのための運動指針」が改定され、身体活動量を表すために「METs(メッツ)」という単位が使われるようになりました。METsは、安静時を1としたときに、その何倍の強さにあたる運動かを表したもので、歩行は3.0METs、速歩は4.0METs、エアロビックダンスは6.5METsにあたります。
心拍数
 運動時、心拍数は酸素摂取量とほぼ比例して直線的に増加することから、心拍数を用いて運動強度を表すことができます。年齢や安静時心拍数から運動強度を算出する「カルボーネン法」が使われます。カルボーネン法は(220-年齢)-安静時心拍数)×運動強度(%)+安静時心拍数で求めることができます。
 例えば、50歳の人で安静時心拍数が60拍/分、運動強度50%に相当する運動の場合、(220-50歳)-60拍/分)×50%+60拍/分=115拍/分になります。この場合、運動中に心拍数が115拍/分まで上がっていれば50%強度の運動ができていることがわかります。115拍/分になっていない場合は、強度を上げる必要があります。
自覚的運動強度(PRE)2)
 運動がどれほどきついか、自分の感覚で表します。Borgスケールとカテゴリーレオシスケールという表し方があり、一般的には15ポイントで表すBorgスケールが用いられます。ただしRPEと運動強度の関係は、環境温度や注意散漫にさせる要因など、外的環境因子によって影響されます。
運動強度の設定の仕方
 健康の維持向上のための運動強度は、有酸素運動であれば「にこにこペース」と呼ばれるおしゃべりをしながら運動ができ、汗ばむ程度が良いとされています。「にこにこペース」であれば一定時間運動を続けることができ、同時に体脂肪燃焼が促される強度にもなるからです。一方高強度で有酸素運動を続けると速筋(タイプ2)の動員が多くなり、筋力への効果も異なってきます。
 一般的に、高強度の運動ではグリコーゲン(糖質)が主なエネルギー源となり、中強度の運動で脂質やタンパク質も主なエネルギー源として使われます。体脂肪燃焼効果を求める場合は、高強度よりも中強度(少し汗ばむ、息が切れる程度)で一定時間運動を行うと良いでしょう。運動に求める効果や目的に合わせて運動強度を設定することが重要です。
自覚的運動強度(RPE)と心拍数との相対関係
 自覚的運動強度(RPE)のBorgスケールでは、あてはまる6~20のポイントに10をかけると、そのときの心拍数に相当します。RPEと心拍数の相関は認められており、計算が難しい場合はRPEを用いると良いでしょう。ただし、RPEは気温などの外的要因の影響を受けるため、必ずしも同じ運動内容がいつも同じ強度(スケール)になるとは限りません。状況に応じて、適切な運動強度の指標を用いるようにしてみてください。

 

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