目標は「高すぎ」てもダメ。

切な目標設定が成長を最大化する
 
 
「目標は高ければ高いほどいい」という人がいるが、あまり鵜呑みにしないほうがいい。

そのような考えは、たとえば将来のある高校生などが、人生における目標を設定するようなときには有効かもしれない。しかし、現実世界においてもそのマインドを引きずったまま「何がなんでも目標を高く」設定する人がいる。

しかし、その高すぎる目標が達成された姿は、あまり見ることがない。目標が高ければ高いほど、その結果も高くなるとは限らない。あまりにも現実離れした目標を設定してしまうと、それは途中から単なる「非現実的な夢物語」になり、目標としてまったく意味をなくしてしまう。

意味がなくなるどころか、目標を宣言したまわりの人びと、そして自分への失望へとつながることにもなる。そして最悪の場合、「次もどうせダメだろう」というネガティブなマインドにおちいってしまうかもしれないのだ。

目標は、「ちょうどいい」ところに設定できるセンスがとても重要だ。

「とりあえず高い目標を適当に設定して......」というやり方だと、最初のモチベーションの高い時期には盛り上がれるが、中盤以降において、実績が目標から乖離すればするほど下方修正を余儀なくされる。

そして、目標が下がって行くと、だんだんモチベーションも下がるという負のスパイラルにおちいってしまう。それは、つまり最初の目標設定に失敗しているということ。

だから、「適切な」ラインに目標を置くことは、とても大切なことだといえる。

 

目標の設定は戦略的に
人間は、簡単すぎる目標に対してはモチベーションが高まらない。しかし、逆に高すぎる目標でも、現実感が持てないためにやる気が持続しない。

だから、高いモチベーションを維持しつづけるためには、自分にとって「最適な」目標水準を設定することが大切。

では、最適な目標設定とはどういうものか?

モチベーションについての研究結果によると、人間のモチベーションが最も高く維持されるのは、「成功と失敗の確率が半々くらい」 という状況にあるときだそうだ。これは、実感値としても納得度が高い。

「できるか/できないか」というギリギリのラインに自分を置くことが、最もポジティブなモチベーションが沸き起こる瞬間だ。だから、単にやみくもに高すぎる目標を置くのではなく、常に自分をちょうど良い状態に置くことのできる目標設定が大切だ。

たとえば、ランニングを続けたいのであれば、まるでアスリートであるかのような高すぎる目標を立てるのではなく、自分自身が達成できるかどうかのギリギリ現実的なラインを設定するということ。

誰しも、「これから何かを始めよう」というタイミングでは、気分も高揚していて、ちょっと無理そうな高い目標を設定してしまいがちなもの。そして、その勢いのままその目標を周囲にも宣言してしまう。そうではなく、センスのある「適切な」目標を立てることが、 高いモチベーションの維持を可能にするのだ。

また、目標は、初めに高く設定してあとから下方修正して何もいいことはないが、逆に、上方修正することの効果は高い。自分に自信ができ、高いモチベーションを長く維持することができる。

できるかどうかギリギリの目標を達成し、たとえば達成率が110パーセントだったとしたら、次は達成した水準を新たな基準値として少し高めの目標を再設定するのだ。これは複利効果みたいなもので、このサイクルを長く続ければ続けるほど、非常に高い水準で成長を続けることができる。

無理をして、最初に高すぎる目標を立ててしまうことが目標達成への近道ではない。高い目標を持つことはカッコよく見えるかもしれないが、それは残念ながら、目標を立てたその瞬間だけだ。

実績が追いつかないと、逆に自分への評価を下げてしまうことになる。 それを繰り返すと、周囲には「また言ってるよ」などと思われるようになる。そしてその結果、自分への自信も喪失するという悲しい結果を招くことになる。

常に「できるか/できないか」という水準で目標を設定し、それを順調にクリアして行く。そして少しずつ目標の水準を上げて行き、それらをすべて達成するポジティブなスパイラルに乗るーそうやって着実に自分の成長を感じ、自己肯定感を高めることが、結局は成長へのいちばんの近道なのだ。

リクルートに会社を売った男が教える仕事で伸びる50のルール』(フォレスト出版)からの一部抜粋

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