「成長」するために大切なこと

きちんと「成長」するために大切なこと
 
 
今になって振り返ってみれば、僕の学生時代に優秀といわれていた同級生と、そのあと社会人になって活躍している人は一致していないケースが多い。

学生時代には多くの人から注目されて輝いていた人が、大企業に入ったあと、「どこにでもいる普通の会社員」になってしまうことはよくある。

逆に、学生時代は目立たなかった人が、そのあとに起業したり、 ある分野で有名な専門家になって大活躍したりしているという例も多々ある。

これはひとえに、「成長に対する姿勢」の違いの結果だと思う。若い頃は、生まれ持った才能だけでそのままいけることもある。

しかし、それ以上に成長しようとする意欲がないと、そこで慢心してしまって伸びなくなってしまうのだ。

そして、地道に努力を続ける「普通で目立たなかった人」に、あとから抜かれてしまうことになる。

これまで多くの人のキャリアの相談に乗ってきた中で、「きちんと成長できる人」に共通する大事な姿勢を挙げていきたいと思う。

 

やりたいことが明確にあり、それを追いつづけている
何か「やりたいこと」を持っている(いた)人は少なくないと思う。でもいちばん大切なのは、 単に何かをやりたいと思うだけではなく、実際にそれを追いつづけられているかどうかだ。

僕の知り合いに「小説家になりたい」と学生時代からずっと言ってる人がいたが、その後、 普通に大きな会社に入り、そこそこのポジションでそこそこの給料をもらっている。しかし今、特に小説家になるための活動をしているようには見えない。

このままだと、彼の夢は実現することはないだろう。現状に中途半端に満足してしまっているため、本当にやりかったことを本気で追っていないのだ。

人は仕事を選ぶとき、給与や待遇、ブランドなどの「主目的ではないそのほかの要因」に引っ張られてしまい、結局は無難にそちらを選んでしまうことが多い。しかし、そうやって消極的な理由で選んだ仕事では、自分を大きく成長させることは難しい。

本気の人に比べて、人生を賭けてやり切るかどうか、そういった気迫みたいなものがまったく違うからだ。

自分の本当にやりたいことを、ずっと真摯に追いつづけている人は素晴らしく成長が速い。大成して名を成すのは、皆そういう人だ。

 

他人から謙虚に学ぶ姿勢を持つ
他人からの助言を素直に聞けるのはとても重要なスキル。しかし、「自分は優秀だ」と自分で思っている人ほど、プライドがじゃまして、積極的に人から教わろうとしない。

せっかく人から助言をもらっても、それを真面目に実行しようとしないのだ。むしろ、自分を正当化するための反論を繰り出してしまったりする。せっかくのチャンスを、斜めにかまえて自らムダにしてしまっているといえる。

変な自尊心を持つことなく、「いろいろな人から学びたい」という姿勢を貫ける人は成長が速い。

もしある人が平均より少しは優秀だったとしても、社会全体という観点からは、しょせん1人の知っていることやできることなんてごく一部だ。

年齢や立場、職業に限らず、謙虚な姿勢さえあれば、すべての人を師とし、いろいろな学びが得られるはず。

 

覚えたことはすぐに実践しようとしてみる
いくら学ぶことが好きでも、単に「勉強」することだけが目的になってしまっている人がいる。もちろん、教養としていろいろな知識を身につけることはけっこうなことだと思う。

しかし、知識だけを増やすことと、人生において必要な実践的な力を身につけることの間には大きな差がある。せっかくの知識を単なる「雑学」に終わらせず、本当に価値があるものにするには、知識を実際に使ってみるという姿勢が重要だ。

インプットは、情報の「消費」なので、快楽性もある。しかしアウトプットは「生産」 なので、かなりしんどい。だからアウトプットよりもついインプットばかりになりがちだけれど、それでは成長は速まらない。

労力を惜しまず、常に目に見える結果を出しつづけること、それが成長へのいちばんの近道だ。

 

自分が得たことを、惜しみなく他者に共有できる人
究極の勉強法は、「学んだことを、人に教える」ということだ。人に教えることは自分が理解する数倍もの労力を使うけれど、だからこそ、とても成長も速い。

人に教えるためには、体系的にその分野のことを理解している必要がある。知識や情報を断片にとどめておかず、全体として理解するための絶好の機会だともいえる。

また、人に教えるということは、積極的にギブができているということ。こういう人には、リターンも多く返って来るもの。多くの人からいろいろ教えてもらえるし、困ったときには助けてもらえる。

こういった好ましい循環を作ることが、自分の成長の助けになる。何かを人に教え、与えるということは、決して他人のためだけではないということだ。

 

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この記事は、アースメディア代表 松本 淳 著 『リクルートに会社を売った男が教える仕事で伸びる50のルール』(フォレスト出版)からの一部抜粋です。