可能性を広げるために、意識的に種をまいて

自分の可能性を広げるために、意識的に種をまいていこう
 
 
自分の成長やキャリアアップは、それがどんなに考えられた戦略的なものであったとしても、どうしても「偶然性」に左右されるものだ。その中でも決定的に大事なのは、「どういう人に出会えるか?」ということ。自分の可能性を開くカギは、ほとんどの場合、出会う人によってもたらされるものだ。

自分のキャリアにとって「運命の人」に出会えるかどうかは、人生の中でも本当に重要な要素だ。成功者は皆、それぞれ自分の「運命の人」に出会えたことを振り返って、「自分は本当にラッキーだった」などと述懐する。

しかし、本当にそれだけなのだろうか?

まだ見ぬ「運命の人」には、単に願うだけではなかなか出会うことはできない。しかし、 出会うための「チャンスの多さ」は、自分の努力で増やせるはずだ。それは、ルーレットにもたとえられる。ルーレットを回して、当たりが出るかどうかは偶然性に左右される。 しかし、「ルーレットを回す」回数は努力で増やせる。ルーレットを何度回すかは、その人次第なのだ。

多く回せば回すほど、大当たりに出会う確率も上がる。偶然で幸運な出会いを増やすためには、自分から積極的に動き、その偶然性を意識的に高める必要がある。

これは「計画的偶発性理論(Planned Happenstance)」と呼ばれ、 1999年にスタンフォード大学のクランボルツ教授によって提唱された。単に偶然を待つだけではなく、—自分から積極的に動いてチャンスを増やすと、より良いキャリアを歩める可能性が高まる そういうことが、研究成果からも明らかになっているのだ。

では、どうすれば、「偶発的な良い出会い」を増やすことができるのだろうか? その方法を考えていこう。

 

積極的に種をまく
まずは、常に自分自身のネットワークを広げる努力をしておくことだ。しかしそれは、 すぐには成果は出ないかもしれない。将来の成果のために「種をまいておく」という考え方に近いだろう。そしてそれこそが、幸運な偶然を増やすための、必然の努力なのだ。

たとえば、よく「異業種交流会に行って、名刺交換をするだけではまったく意味がない」といわれる。しかし、その意見を鵜呑みにしてはいけない。確かに、名刺交換だけでそのあと何もアクションをしなければ、単にそれで終わってしまう。しかし、その名刺交換から、新しいつながりや事業が生まれたというケースも、数え切れないほど実在するのだ。

名刺交換をするときにしっかりとヒアリングをし、自分と関係がありそうなポイントを把握しておく。そして、つながっておきたいと判断すれば、改めてきちんと連絡をする。アポイントを依頼してもいいし、SNSでつながるのもいい。これらの行動はすぐに価値を生むことがないとしても、まさに、将来への大切な投資活動といえるのだ。

また、SNS上だけでも、出会いの可能性は広げられる。積極的にフォロー/フォロワー を増やすと、そのぶん、自分の将来の可能性は高まっていく。単に数だけを追うことには 意味がないが、つながりたい人と積極的につながり、リレーションを深めていくことは、いずれ自分を助ける結果につながる。「運命の人」が、そこにいるかもしれないのだ。

 

既存のつながりをムダにせず、もっと活かす
せっかくの「つながり」も、単に知り合いというだけではその後なかなか発展しない。 しかし、すでに知り合っている人が、今の自分にとって重要な情報を持っているということはよくある。

問題は、自分がそれを把握できていないこと。成功の鍵がすぐそばにあるにもかかわらず、その存在に気づいていないという、非常にもったいない状況だ。だから、日頃からの意識的なコミュニケーションが大切。誰がどういう価値を持ってい るのかをきちんと把握しておき、せっかくのチャンスを逃さないこと。

そのときに、自分 から価値を提供できることがあれば、ギブ・ファーストの精神でどんどんやっていこう。その行動が、あとで自分に何十倍の価値となって返って来るのだ。また、自分から積極的に発信しつづけることも大事だ。何か新しいことをやろうとして、 その内容を知られるリスクを嫌って隠すという人は多い。

しかし今の時代、アイデアだけが知られてそれが競合リスクになるという可能性は減っている。アイデアだけなら、どこにでも転がっているからだ。それよりも、自分のアイデアをネットワーク内に広め、他者から適切なアドバイスをもらったり、新たに人を紹介してもらえるメリットのほうがはるかに大きい。

自分のやりたいことを知ってもらうことにより、積極的に応援を受けられるようになる。せっかくのつながりを、うまく活かさない手はない。自分からの具体的な行動を増やすことによって、「思いがけず」助かった、そういう「偶然」を、意識的に増やしていくのだ。

 

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この記事は、アースメディア代表 松本 淳 著 『リクルートに会社を売った男が教える仕事で伸びる50のルール』(フォレスト出版)からの一部抜粋です。