「他者から応援される人」になるために

世の中、優秀な人ばかりが成功できるわけではない。むしろ、ものすごく優秀な能力を持つのに、いつも成功とはほど遠い人は多い。

逆に、それほど優秀というわけではなくとも、「自分には能力が足りない」と自覚している人が、経営者として大成功しているようなケースは多々ある。

それはなぜか?

まさに「自分は完璧ではない」という思いを持っているということ。その自覚をしていることが大切なのだ。人生の成功の鍵は、自分自身が優秀かどうかというより、「いかに人に応援してもらえるか」ということにある。

この複雑化した社会において、1人だけで成し遂げられることなどたかが知れている。人から応援され、助けられ、初めてそれなりに大きなことを手がけることができる。

逆に、いかに当人が優秀であったとしても、まわりから支持されない人は必要な力を集めることができず、大きな成功を望むことはできない。1人の力では何もできない、まさにそういう時代だ。

「他者から応援される」人とは、いったいどういう人なのか?

その共通項といえるものを見ていこう。

 

素直にミスや失敗を認め、反省できる人
人は、誰でも失敗するものだ。しかし、失敗を正面から受け止め、反省することはとても難しい。

そしてそれは、昔から「優秀」といわれつづけてきた人にとっては、特に難易度が高いことがある。

自分の失敗を正面から認めることはプライドが許さず、ついあれやこれやと言い訳をして自分を正当化してしまう。

これは、年を重ねたり、組織の中で昇進したりするほどその傾向が強くなる。だからこれは、多くの人にとって、常に注意しなければならないことでもある。

自分の失敗を認めることは勇気がいるけれど、それができる人は、人から信頼される。

あれこれ弁明して意固地になる人よりも、たとえ1回の失敗があったとしても、「この人なら次は大丈夫」という安心感が持てるからだ。

失敗を認め、その反省を次に活かそうとする人には、こちらからも積極的に手を差し伸べられる。そしてそれは、より多くの人の 貴重な力を借りられるということにつながる。自分の足りない部分を他者に補ってもらうことにより、自分1人だけのときよりも、何倍もの価値や成果を出すことができるのだ。

 

他者の気持ちがわかる人
他者の気持ちを理解する能力はとても大切。優秀な人がおちいりがちな良くないパターンは、他人に対して「なんでこんなに簡単なことができないの?」と思ってしまうことだ。

自分がこれまでいろいろとできてきたために、できない人の心理が理解できないし、しようともしない。だからつい独善的になってしまったり、あまつさえ、自分以外のまわりの人をバカではないかと軽んじてしまったりする。

しかし、そういう人でも、何から何まで完璧というわけではないはずだ。困った人、弱い立場の人の気持ちに無関心だと、そういう人たちからまったく支持されないし、心を閉ざされてしまう。

そうなると、いずれ自分が窮地におちいったときに、誰からも助けてもらえなくなってしまうのだ。

人の気持ちを理解しようとする姿勢はとても大切だ。人に対して「共感」できる力がこれだけクローズアップされる時代。人の心を思いやり、困っている相手には手を差し伸べようとする、そうした姿勢を持つ人にこそ、まわりにいる多くの人から手が差し伸べられる。

仕事は1人でやるものではなく、常にチームの力で成し遂げるもの。その考え方を忘れてはいけない。

 

いつも前向きな気持ちを持っていること
何か不満があると、まわりに愚痴をこぼしてばかりの人がいる。自分のつらさを訴え、他者に共感してもらいたいのだろう。

しかしそういう行動が、皮肉にも、自分から人を遠ざけてしまう原因になる。愚痴を聞いてくれる人はみな優しいので、少なくとも表面的には共感を示してくれるかもしれない。

しかし、これからも積極的に応援してもらえるかというと、話はまた別だ。普通、人は後ろ向きな人よりも、前向きな人を応援したくなるも のだ。

いつも後ろ向きな姿勢を見せる人には、だんだんと人が寄って来なくなる。たとえ何か失敗をしたとしても、すねず、腐らず、できるだけ前向きであろうとする人を、まわりは応援したくなるもの。

だから、何があっても、少なくとも気持ちだけはできる限りポジティブであろうとすることが大切だ。もちろん、それでもつらいときはつらいし、気分が落ち込んでしまうこともあるだろう。

しかしそのあと「少しでも良くなりたい」という姿勢を自分なりに持とうとすること。その努力こそが大切だと思う。

 

 

この記事は、アースメディア代表 松本 淳 著 『リクルートに会社を売った男が教える仕事で伸びる50のルール』(フォレスト出版)からの一部抜粋です。